本記事では、働きがいのあるオフィスづくりについてご紹介します。
例えば、SDGs認証も働きがいのある企業の1つの取組になります。
SDGsは、総合評価落札方式の加点となるだけでなく、従業員1人1人に社会課題の解決の取組みを促す認証取得です。
今回は、働きがいのあるオフィスづくりのための健康経営の取組みや、環境・脱炭素経営の事例についてご紹介させていただきます。
生涯現役社会を目指す健康経営
はじめに、働きがいのあるオフィスづくりのためにまず気を付けるべきハラスメントについてご紹介します。
ハラスメントとは、いじめや嫌がらせと訳される言葉です。(一社)日本ハラスメント協会では、ハラスメントの種類は30種類以上におよぶと提言しています。
他者に不利益を与え不愉快にすることは、当事者の意図があったか否かを問わず、相手が不快な感情をいだけばハラスメントになります。
法外な長時間勤務、サービス残業、パワハラなど、劣悪な労働環境による過労死、自殺が相次いだことによって、社会全体で「従業員が心身ともに安心して健康的に働くことができる職場環境」を求める気運が高まっています。
最終的には、生涯現役社会をより良くすることが求められています。
生涯現役社会は、①就労、②第2の社会活動、③介護サービス・施設の利用の3つに区分されます。
①、②の健康寿命をいかに長く持続することができるかが求められています。
このため、オフィスでは従業員が健康で活躍できるように、健康投資に積極的に取り組むことが必要です。
また、健康経営は、新たな社会的価値としても評価されています。
大手企業の企業価値を高める取組み
大手企業にて企業価値を高めるための3つの取組みについてご紹介します。
1)東京証券取引所の市場再編
東京証券取引所では、2022年4月に「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分に再編しました。再編後は、プライム1,839社、スタンダード1,466社、グロース466社となっています。
今回の再編では、海外投資家に認められるように、日本の時価総額を上げていこうというところがポイントです。
では、具体的にはどのように変更になったかというと、2022年4月4日より、3つの市場区分にて株式取引をスタートしています。
東証1部の8割超に当たる1,839社が最上位の「プライム」市場に移行していますが、うち、約300社が基準未達となっています。
今回の再編の背景ですが、従来の市場では、市場第二部、マザーズ、JASDAQの位置づけが重複しているほか、市場第一部についてもそのコンセプトが不明確でした。
また、上場後に積極的な企業価値向上を促す仕組みとなっていないなどの課題があり、市場再編にいたりました。
当初の計画では、プライム市場は時価総額500~1,000億円の企業で構成しようとしていました。
しかし、時価総額を満たせない一部上場企業や陳情を受けた政治家からの反対もあり、時価総額100億円以上に設定され85%がプライム市場に移行した形となりました。
2)DX銘柄2021
経済産業省は、東京証券取引所と共同で、2021年6月に「DX銘柄2021」選定企業28社と「DX注目企業2021」20社を発表しています。
DX銘柄とは、優れたデジタル活用の実績のある企業株のことです。
建設業では、清水建設が「DX銘柄2021」に選定されていますが、建設・土木事業を主力事業としている企業では、175社が市場再編で選定を受けています。
DX銘柄の選定が株価を押し上げ、注目度向上、ブランディング、企業価値向上につながることが期待されています。
3)ESG評価
次に、ESG評価についてもご紹介します。ESGは、環境・社会・ガバナンスの頭文字を取ったものです。
日本では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、ESGを考慮した投資を推進しています。
GPIFが選定した7つの「ESG指数」は、時価総額などの評価に加えて、企業価値を評価するスタンダードな指標として認知されています。
投資家や金融機関が投資先を選定する際に、時価総額などに加えて非財務情報であるESGを考慮する投資をESG投資と言います。
CO₂など炭素効率性の向上や女性活躍、ジェンダー平等が着目される理由は、テーマ指数における項目に該当するためです。
選定企業は大手上場企業が中心ですが、7つの指数会社に評価されることで企業価値が高まります。
中小企業おすすめの外部認証
ここからは、おすすめの外部認証についてもご紹介します。
1)健康経営優良法人
「健康経営優良法人」とは、2016年度からスタートした経済産業省の認定制度です。
「健康経営優良法人2022」では、大規模法人部門2,299法人、中小規模法人部門12,255法人が認定されました。
「健康経営優良法人」では、日本健康会議にて審査の上、「優良な健康経営を実践している企業」が認定されます。
では、「健康経営優良法人」認定を受けるメリットについてもご紹介します。
健康経営では、以下のようなインセンティブがあり、認証取得を進める企業が増えています。
<主なインセンティブ>
①公共調達加点評価(自治体が行う公共工事、入札審査で入札加点)
②自治体が提供するインセンティブ(融資優遇、保証料の減額、奨励金や補助金)
③銀行等が提供するインセンティブ(融資優遇、保証料の減額や免除)
2020年度は、7,934件/9,403件(=認定率84.4%)であり、2016年度の創設以降、毎年、申請数・認定数が増えています。
2)えるぼし認定
「えるぼし認定」は、2016年度からスタートした厚生労働省の認定制度です。女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定しています。
女性活躍推進法に基づき、3段階、5つの評価制度(①採用、②継続就業、③労働時間の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコース)に沿って認定を行っています。
2020年(令和2年)6月1日からは、「プラチナえるぼし認定」がスタートしています。
目標達成や女性活躍推進の取組みが特に優良な企業に認定されます。
3)くるみん認定
「くるみん認定」は、2007年度からスタートした厚生労働省の認定制度です。
仕事と子育ての両立支援に取組む優良な企業を認定しています。
次世代育成支援対策推進法に基づき、一定水準以上の育児休業取得や育児に伴う時短勤務制度の設置など、10項目からなる認定基準を満たす必要があります。
2022年3月末時点で、くるみん3,795社、プラチナくるみん484社となっています。
「くるみん」、「プラチナくるみん」に加え、2022年より「トライくるみん」が新設されました。
4)エコアクション21
続いては、環境経営に関する外部認証です。
「エコアクション21」は、1996年度からスタートした環境省の登録・認定制度です。
事業活動に伴う環境パフォーマンス(エネルギー、水の使用量、廃棄物排出量の削減など) の総合的な向上を目指します。現在の認証・登録事業者数は7,423社です。
「エコアクション21」では、毎年、取組みが優秀な企業の表彰を行っています。
「エコアクション21 オブザイヤー2021」では、環境レポート部門 金賞にコムパックシステム、ソーシャル部門 金賞にソーイング竹内が選ばれています。
認証取得によって、自治体の補助、入札参加資格審査での加点、金融機関の低金利融資などのメリットがあります。
5)建設キャリアアップシステム(CCUS)
「建設キャリアアップシステム(CCUS)」は、(一財)建設業振興基金が運営するシステムです。
事業者・技能者を登録の上、就労実績や資格取得から公正な評価を行います。
CCUSの取組みは、自治体公共工事の総合評価落札方式にて加点項目にも採用されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回お伝えしたいポイントは、以下の3点です。
<お伝えしたいポイント>
・ハラスメントは30種類以上。健康経営を行い、従業員が心身ともに働きやすい環境をつくりましょう
・上場企業では①東証証券の市場再編、②DX銘柄選定、③ESG評価が注目を集めています
・健康経営優良法人、えるぼし認定、くるみん認定、エコアクション21、建設キャリアアップシステムがお薦めです
外部認証の取得により、企業価値の向上につながります。
健康経営に向けた外部認証取得(くるみん、えるぼし)により、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化となります
環境・脱炭素経営に向けた外部認証(SDGs、エコアクション21)により、新たな事業機会の創出(新規顧客・パートナーの獲得)につながります
自社取組みは、外部発信(アウターブランディング)がお薦めです。モデル企業の人材採用や育成の取組みも参考に進めていきましょう。ぜひ、皆様も、今後の経営戦略の1つとして参考にいただけますと幸いです。
今後とも、何卒、宜しくお願いいたします。