皆様、いつもありがとうございます。
私、株式会社船井総合研究所建設支援部の南出と申します。
「時間がない」「教える人がいない」と頭を抱えていませんか?安心してください。座学に時間をかけることなく、現場で「ながら」育成を進めることで、効率的かつ実践的なスキルを身につけさせる戦略があります。
なぜ「ながら」育成が最適なのか?
従来の育成方法は、座学で知識を詰め込み、その後現場で実践するというのが一般的でした。しかし、この方法には課題があります。座学で得た知識は、実際の現場でどのように活かされるのかイメージしにくく、いざ現場に出ると「教わったことと違う」と戸惑いがちです。また、忙しい現場で育成のために別途時間を確保するのは至難の業でしょう。
「ながら」育成は、これらの課題を解決します。つまり、日常業務の中で、先輩の背中を見ながら、実践を通して学びを深めるという方法です。
座学0時間!工事の業務フローに沿った効率アップ戦略
では、具体的に工事の業務フローを細分化し、要所で指示とフィードバックを行う「ながら」育成について解説します。
1. 計画・準備フェーズ:細かな指示出しと意図の共有
この段階では、若手にはまだ判断は任せません。しかし、計画の背景や意図を理解させる重要なフェーズです。
「見積もり作成」や「業者選定」の同席: 各業者の提案内容や金額の比較検討方法、選定基準などを細かく指示出しし、なぜその業者を選ぶのかを説明します。
「工程表作成」時の横並び指導: 工程表作成ソフトの操作方法だけでなく、各工程の作業日数や段取りの考え方を一つ一つ丁寧に指示します。不明点があればその場で質問させ、すぐに回答・解説します。
「図面チェック」のポイント指導: 設計図書と施工図を比較する際、どのような点に注意して確認するかを具体的に指示します。着眼点を教え、その結果をすぐにフィードバックします。
2. 施工実行フェーズ:進捗ごとの確認と改善指示
現場が動き出したら、若手に責任を持たせつつ、要所で介入します。
「朝礼・夕礼での役割付与と評価」: 若手に朝礼での連絡事項の読み上げや、夕礼での今日の作業報告を任せます。その後、「声が小さかったぞ」「もっと簡潔にまとめて話せるように練習しよう」など、具体的なフィードバックを与えます。
「各工程完了時のチェックと指示」: 基礎工事完了後、躯体工事着手前など、各工程の区切りごとに、若手に写真撮影や寸法測定をさせます。完了後、その結果を一緒に確認し、「この配筋はあと数本必要だ」「ここが少しずれているから、〇〇に連絡して修正させよう」など、具体的な修正指示を出します。
「安全パトロール時の危険予知訓練」: パトロールに同行させ、危険箇所を見つけさせます。「あの開口部は危険だと思わないか?」「どうすれば防げる?」と問いかけ、危険に対する感性を磨かせ、改善策を考えさせます。その後、適切な対策についてフィードバックします。
3. 竣工・引き渡しフェーズ:書類作成と品質確認の徹底
最後の仕上げ段階では、品質への意識を高めさせます。
「完了検査書類作成の細部指導」: 竣工図書の作成や検査書類の準備において、どのような情報が必要で、どのように整理すればよいかを細かく指示します。一つ一つの項目に対し、「この写真はどのアングルで撮るべきか?」といった疑問を解決しながら進めさせ、作成物を即座にフィードバックします。
「施主引き渡し時の同席と解説」: 施主への引き渡しに同席させ、建物の説明方法や質問への対応方法を学ばせます。実践的なノウハウを共有し、引き渡し後の対応についてアドバイスを与えます。
まとめ:現場は最高の学び舎
施工管理の育成は、何も特別な時間や場所を必要としません。日々の現場こそが、最高の学びの場です。座学0時間でも、先輩社員が意識的に工事の業務フローを細分化し、要所要所で細かな指示出しとフィードバックを繰り返すことで、若手は驚くほど早く成長します。
これは、目の前の業務を効率化するだけでなく、将来の現場を支える人材を確実に育てるための、最も効果的な投資と言えるでしょう。ぜひ、今日からあなたの現場で「ながら」育成を実践し、チーム全体のスキルアップ、ひいては会社全体の生産性向上につなげてください。
