皆さんの会社にも必ず1人はいる、理路整然と常に「正しい」ことを言う部下。
その指摘は一見すると頼もしい一方のですが、なぜか周囲に後味の悪さを残すことがあります。その理由は、本人が「正しさ」というナイフの遣い方を誤っているからかもしれません。
先日、ある若手コンサルタントから、元同僚の話を聞きました。その同僚(Aさんとします)は、日報で上司の間違いを「正論」で指摘し続け、結果として上司の敵意と周囲の萎縮を招き、職場全体の活力を奪ってしまったそうです。
Aさんの行動は、本来の目的である「組織改善」ではなく、「相手を論破し、自らの正しさを証明する」こと自体が目的となる「手段の目的化」に陥っていました。
そうなると、指摘はもはや「アドバイス」ではなく「攻撃」としか受け取られなくなります。
では、その「正しさ」を、組織を生かす「メス」として、どう使えばプロフェッショナルだったのか。
本当に価値のある指摘には、共通する要素があります。それは、
①目的が「組織改善」であること
②相手への「敬意」を忘れないこと
③「タイミングと伝え方」を戦略的に選ぶこと
そして何より、
④指摘を相手の未来への「気づき」という贈り物(資産)として渡す意識
この4つではないかと思います。
「正しいこと」を言うだけでは、人の心は動きません。その正しさを、相手の成長と組織の発展に繋がる「価値」へと昇華させること。それこそが、プロフェッショナルに求められる真の能力だと思います。
