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ICT活用工事とは?
「i-Construction(アイコンストラクション)」とは、建設現場の生産性向上を図る取組みです。
国土交通省では、建設現場の生産性向上を図るi-Construction(アイコンストラクション)を推進しており、特に、ICT技術の全面的な活用(土工)の導入を積極的に進めています。
本記事では、地場ゼネコンの「ICT活用工事」の成功手法をご紹介します。
ICT活用工事の課題
一般土木の内訳では、Aランク約30社、Bランク約100社、Cランク約5,900社、Dランク約1.1万社があります。
このうち、A~Bランク企業では、ICT活用工事の導入が進んでいるものの、残りの99%にあたるC~Dランクの企業への普及が建設業界の今後の課題となっています。
普及にあたっての障壁は、①ICT活用工事の手間、②ICT人材の不足、③ICT投資への負担などがあるようです。
では、地場の中小ゼネコンは、どのようにICT活用工事に取り組んでいけばよいのでしょうか?
将来の勝敗を分ける「ICT活用工事」
モデル企業では、地方整備局や県発注工事にて、年々、ICT活用工事の実施件数が増えています。
今後も、ICT活用工事の導入割合は増え続け、標準化されることが見込まれます。
このため、今、ICT活用工事に取り組めない企業は、将来の受注が見込めず、淘汰される可能性は非常に高いです。
まずは、分からなくてもトップダウンで始めてみることが大切です。
ICT活用工事に新規に取り組む場合は、受注者の提案・協議によってICT活用工事が実施できる「施工者希望Ⅱ型」がおすすめです。
ICT活用工事が入札時の条件となっている「発注者指定型」、「施工者希望Ⅰ型」に比べると、参入の障壁は低くなると考えられます。
次に、変更提案ですが、土工では、①測量、②設計・施工計画、③施工、④検査のステップがあります。
この各ステップにおいて、3次元データを活用する手法が「ICT活用工事」となります。
まずは、3次元測量(ドローン、レーザスキャナ等)の導入提案などで、発注者との変更協議を進めていきましょう。
ドローンやレーザスキャナによる3次元測量および3次元データの作成方法が分からない場合は、外部発注も検討できます。
外部発注の場合は、初期投資や3次元データ作成の手間も省けますので、投資力の低い中小ゼネコンはおすすめの手法と言えます。
i-Constructionを活用した企業ブランディング
続いて、ICT人材についてです。
国土交通省のi-Construction大賞を受賞するモデル企業では、年間5~10名の採用があります。
人材が獲得できている理由は、i-Constructionを活用した企業ブランディングに成功していることが最も大きな理由です。
全国の土木業では、発注者が官公庁であるため、民間や一般向けのPRに力を入れる必要がないため、この企業ブランディングをおろそかにしている企業が多く見られます。
そもそも、“3K(くさい、きたない、きつい)業界”の代表格とも揶揄される土木業は、将来の一役を担うはずの工学部学生からも就職を嫌がられる不人気業種となっています。
その結果、新規の人材は集まらず、3~40代の中堅層が抜け、経営者や熟練技術者が高齢化、次々に定年を迎えるという深刻な事態となっています。
まずは、就職・転職希望者がはじめに目にするホームーページを、「この会社で一緒に働いてみたい」と感じさせるような第一印象に変えることから始めてみてください。
数年後に大金に変わるICT投資
最後に、ICT投資についてです。
i-Constructionのモデル企業では、ICT機器、ソフトに1億円以上の投資をしています。
そして、ICT活用工事をスタートして数年で、投資額を大きく上回る利益を獲得できています。
中小ゼネコンのICT活用工事参入を阻む最も大きな壁は、初期投資です。
ICT重機は約3千万円、レーザスキャナは約1千万円、ドローンは約1百万円、3Dソフトは数十万円の購入費用がかかります。
ICT活用工事の工事請負金額は、一般的な工事よりも割高になりますが、1回の発注工事でICT機器・ソフトの購入にかかる初期費用をまかなえるだけの利益は捻出できません。
このため、ICT機器・ソフトは、可能な限りレンタルを選択することがおすすめです。
取組み当初の投資負担はかかりますが、ICT活用工事は、将来的に標準化される方向にあります。
今後、複数のICT活用工事で使用することで初期投資をペイできると考え、ICT活用工事の受注機会を増やしていきましょう。
“失敗しないICT活用工事参入”のまとめ
以上、“失敗しないICT活用工事参入”では、モデル企業の3つの成功手法をご紹介しました。
ICT活用工事を牽引してきたモデル企業の担当者は、「本気にならないとi-Constructionはできない。」と口を揃えて話します。
ぜひ、経営幹部の皆さまも、本気になってi-Constructionに取り組んでいただきたいと思います。
まずは、ICT活用工事に精通する関係者にも相談しながら、1つ1つ疑問と課題を解決していきましょう。