物流市場の近年の動向とは?
国内では、ここ数年、“物流施設の新設ラッシュ”にあります。
「物流施設は供給過多。」との見方もある中、首都圏で大型のマルチテナント型物流施設の空室率は過去最低の水準まで下がっています。
大手運送会社の配送料値上げを発端とした物流の混乱「物流クライシス」が起こったのは2017年です。
その後も、EC市場の拡大に伴い、一口小口の宅配便取扱数は年々増え続けています。
2018年の国内の宅配便取扱数は、約43億個で2009年から134%増を記録しています。(中国は、2018年に約500億個です。)
現在活況にある物流市場ですが、今抱える課題についても整理していきます。
荷主・運送会社の抱える課題
国内貨物輸送量は、長期的に減少傾向にあります。(2000年と2015年を比べると、25%程度低下。)
荷主は、①国内市場の縮小、②グローバルな価格競争、③経営効率の改善などの経営課題を抱えています。
また、国内では、築年数30年以上を経過した物流施設が年々増え、新たな経営課題にも直面しています。
このため、企業は、資産圧縮を進め、物流施設については自社保有から賃借への流れを加速しています。
つまり、荷主は、今後の国内市場の縮小などを見据え、“物流施設や在庫を持たない経営方針”に舵切りしていると言えます。
「物流不動産」の新規参入
荷主は、従来の自社倉庫の所有型から賃貸型へシフトしています。
このような動きを受け、「物流不動産」では、国内大手の物流事業者をはじめ、建設・不動産、商社、生保、電鉄会社など、異業種からの「物流不動産」参入が増加しています。
また、外資系の物流事業者、不動産会社が参入し、国内で大型のマルチテナント型物流施設を次々と新設しています。
上記の企業は、自社での土地・建物の開発投資を積極的に行っています。
投資しても、物流テナントのニーズがあるため、地代・賃料あるいは売却による不動産収益で、十分に採算が取れると判断しています。
国内における様々な物流課題を踏まえると、荷主・物流事業者のニーズを満たす立地や建物を提供すれば、物流不動産・建築の新規参入は可能と考えられます。
物流施設開発のポイント
物流施設の開発案件の獲得は、①開発用地の仕込み、②土地・建物に投資する物流ディベロッパーの仕込み、③テナント企業の誘致がポイントとなります。
例えば、東京都市圏に立地する物流施設のうち、築30年以上経過した施設の割合は約3割で、特に東京都心に集中しています。
また、 冷蔵倉庫については、約半数が築30年以上経過しており、東京都内では、より老朽化の傾向にあります。
そこで、老朽化・破損にお困りの建物オーナーに、首都圏にて賃貸で使えるマルチテナント型物流施設を紹介すれば、“物流施設や在庫を持たない経営方針”とも合致する可能性は高くなるといったことが考えられます。
まとめ
ECマーケット需要は活況も、将来的には国内市場は縮小します。
また、荷主は、自社倉庫の所有型から賃貸型がトレンドとなっています。
物流施設における案件獲得の近道は、“自社での土地・建物の開発投資”です。
投資が難しい場合は、時間はかかりますが、土地、建物、事業者のマッチングを提案していきましょう。
まずは、築30年以上経過した施設をターゲットとして、中小規模の建物オーナーの出店ニーズをヒアリングするところから進めてみてください。