倉庫・工場建築を新たな事業の柱にする方 法|建設会社が受注を伸ばす4つのポイント

  • 民間工事
公開日
更新日
執筆者船井総研 製造・建設支援本部
コラムテーマ新規事業参入
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倉庫・工場の施工経験はあるものの「紹介がなければ案件が来ない」「毎年数件の見積もりはあるが、安定した受注につながらない」と悩む建設会社は少なくありません。
倉庫・工場建築の受注が伸びないと市場そのものが小さいように感じるかもしれません。しかし、 国土交通省の建築着工統計調査によると2025年に着工した民間非居住建築物の床面積は倉庫が約960万㎡、工場が約583万㎡となっています。倉庫・工場を合わせると約1,543万㎡となり現在も大きな建築需要が存在する市場であることが分かります。


それでは、地域建設会社が倉庫・工場建築の受注を安定して伸ばすためには、何に取り組めばよいのでしょうか。
本コラムでは、倉庫・工場建築を新たな事業の柱にしたい建設会社に向けて受注を伸ばすための4つのポイントを解説します。

この記事で分かること

● 倉庫・工場建築の受注が増えない原因
● 倉庫・工場専門ブランドを立ち上げるメリット
● 紹介以外から問い合わせを獲得する方法
● 受注力と施工力を高めるための取り組み

倉庫・工場の施工経験があっても受注が増えない理由

倉庫・工場を施工できる技術があっても、そのことが発注者に伝わっていなければ相談先の候補には入りません。総合建設会社のホームページでは、住宅、店舗、公共工事、土木工事などさまざまな事業の中に倉庫・工場の施工実績が掲載されているケースが多く見られます。

しかし、倉庫や工場の建築を検討している企業からすると「どのような倉庫を建てられるのか」「工場建築に詳しい会社なのか」「費用や工期はどの程度なのか」が分からず、問い合わせまで進めないことがあります。
また、案件の獲得を既存顧客や金融機関、設計事務所からの紹介だけに頼っていると、問い合わせが発生する時期や件数を自社でコントロールできません。突然届いた見積依頼に対応した結果、相見積もりによる価格競争に巻き込まれるケースもあります。倉庫・工場建築を伸ばすためには、「施工できる会社」から、「倉庫・工場の相談先として
認知される会社」へ変わる必要があります。

ポイント1.倉庫・工場に特化した専門ブランドを立ち上げる

最初に取り組みたいのが、倉庫・工場建築に特化した専門ブランドの立ち上げです。
総合建設会社として幅広い工事に対応している場合でも、倉庫・工場部門にブランド名やロゴ、キャッチコピーを設けることで、専門性を分かりやすく伝えられます。重要なのは、単に「倉庫・工場も施工できます」と打ち出すことではありません。
例えば、次のように自社が得意とする領域を具体化します。
● 物流会社向けの倉庫建築
● 製造業向けの工場建築
● 中小規模の倉庫・工場
● 建て替えや増築
● 土地探しからの建築提案
● 短工期・低コストのシステム建築
対応する用途や規模、顧客層を明確にすることで、発注者が「自社の計画を相談できる建設会社だ」と判断しやすくなります。


ポイント2.倉庫・工場建築の専門サイトを立ち上げる

専門ブランドと併せて整備したいのが、倉庫・工場建築に特化したWebサイトです。
既存のコーポレートサイトに施工実績を数件掲載するだけでは、発注者が知りたい情報を十分に伝えられません。専門サイトには少なくとも次のような情報を掲載します。
● 倉庫・工場の施工事例
● 対応可能な建物の用途・規模
● 参考価格や坪単価
● 建築までの流れ
● 標準的な工期
● 利用できる建築工法
● 土地探しや補助金申請などの対応範囲
施工事例についても、写真と建物名だけで終わらせず、延床面積、構造、工期、建築目的、施主が抱えていた課題などを掲載することが重要です。

発注者が必要な情報を確認できれば、専門サイトは問い合わせ獲得だけでなく、営業時の説明資料や会社の信頼性を伝えるツールとしても活用できます。専門サイトでは、施工事例を用途別・規模別に整理し、費用や工期の目安を示すことが相談につながる土台となります。

ポイント3.Web・DM・訪問営業を組み合わせる


専門サイトを立ち上げただけでは、すぐに問い合わせが増えるとは限りません。倉庫・工場を建築する可能性がある企業に、専門ブランドの存在を知ってもらう必要があります。
主な対象は、地域の製造業、物流業、運送業、卸売業などです。こうした企業に対して、次のような販促活動を組み合わせます。

● 検索広告やSEO対策
● 既存顧客へのメール配信
● 製造業・物流業へのDM
● 工場や物流施設への訪問営業
● 完成見学会や現場見学会
● 金融機関や不動産会社への紹介依頼

ポイントは、一つの集客方法だけに依存しないことです。
例えば、DMを見た企業がすぐに問い合わせるとは限りません。しかし、その後に専門サイトを閲覧したり、訪問営業を受けたりすることで、会社名や専門ブランドを思い出してもらえることがあります。Web、紙媒体、訪問営業を連動させ、地域の発注者との接点を継続的につくることが、紹介待ちから脱却する第一歩です。

 

ポイント4.システム建築と土地提案で受注力を高める


問い合わせを獲得した後は、他社と比較された際に選ばれる提案が必要です。
その一つが、システム建築の活用です。システム建築とは、建物の部材や設計、施工方法などを標準化した建築手法です。設計や積算の効率化により、短期間で見積もりを提示しやすく、施工管理にかかる負担も抑えられます。
特に、人員が限られている地域建設会社にとって、設計・積算・施工を効率化できることは大きなメリットです。ただし、システム建築を取り扱うだけでは、十分な差別化にはなりません。
さらに受注力を高めるためには、土地探しの段階から相談に乗る体制が重要です。
倉庫・工場の建築を検討している企業の中には、建築用地が決まっていない企業もありま
す。不動産会社や金融機関と連携し、土地情報と建築計画を一体で提案できれば、見積もり段階よりも早いタイミングで発注者と接点を持てます。建物の価格だけを比較される立場ではなく、事業計画や土地選びから支援する立場になることで、他社との価格競争を避けやすくなります。

 

倉庫・工場建築を伸ばした企業の取り組み


船井総研の支援事例では、もともと倉庫案件が年間2件程度だった建設会社が、次の4つの取り組みを実施しました。
1. 倉庫・工場専門ブランドの立ち上げ
2. 専門性を打ち出した販促活動
3. システム建築による施工の効率化
4. 土地からの建築提案
その結果、事業開始から2年間で6棟・11億円を受注しています。
また、別の建設会社では、倉庫・工場専門ブランドと専門サイトを立ち上げ、月10件以上の問い合わせを獲得し、参入1年で4棟・12億円を受注した事例もあります。
これらの事例に共通しているのは、施工技術だけに頼らず、専門性の見せ方、集客方法、提案体制までを一体で整えていることです。

 

まとめ|倉庫・工場建築を「紹介で受注する事業」から「計画的に伸ばす事業」へ


倉庫・工場建築を伸ばすために必要なのは、施工実績を増やすことだけではありません。
まずは、自社がどのような倉庫・工場を得意としているのかを明確にし、専門ブランドと専門サイトを通じて発信することが重要です。そのうえで、Web、DM、訪問営業などを組み合わせ、紹介以外の問い合わせ経路をつくります。
さらに、システム建築による効率化や、土地探しからの提案体制を整えることで、受注確度と施工可能件数の向上につなげられます。
倉庫・工場の施工経験があるにもかかわらず、年間数件の問い合わせにとどまっている場
合、施工力ではなく、専門性の伝え方や集客方法に改善の余地があるかもしれません。倉庫・工場建築を偶然受注する事業から、安定して問い合わせと受注を生み出す事業へ転換することが、新たな事業の柱をつくる第一歩です。

 

 



執筆者 : 船井総研 製造・建設支援本部

船井総研の製造・建設支援本部は、建設業界に特化した経営コンサルティングを行っております。コンサルティング事業で培ってきた成功モデルを武器に、ほぼすべての業種・テーマをカバーしております。経営に関するお悩みを幅広く解決いたしますので、是非お気軽にご相談ください。