いつもお読みいただきありがとうございます。
AI、DX、業務効率化――。
ここ数年、経営者の皆様とお話ししていると、
「社員にもAIを使えるようになってほしい」
「DXを進めたいけれど、教えられる人がいない」
「研修を受けさせたいけれど、時間も費用もかかる」
そんな声をよく耳にします。
実は、こうした「人材育成」に対して、
国が企業を支援する制度があります。
今回は、この制度を単なる「助成金情報」としてではなく、
「これからの会社に必要な人材を、どう育てていくか」
という経営の視点から、整理してみたいと思います。
本コラムが、 これからの人材育成を経営の視点から考える、 きっかけになれば幸いです。
いま、「社員を育てる」ことが経営課題になっている
これまで社員教育というと、
「新人研修」
「資格取得」
「管理職研修」
といった、人事・教育部門の仕事として考えられることが多かったと思います。
しかし、これからは少し違います。
AIが普及し、
仕事の進め方そのものが変わっていく。
昨日まで必要だった仕事が減る一方で、
昨日まで存在しなかった仕事が生まれる。
つまり、
会社が変わるためには、社員も一緒に変わらなければならない。
これが、これからの人材育成です。
特にDXやAI活用、新しい事業への展開を考えている会社では、
「新しいツールを導入する」
だけでは十分ではありません。
そのツールを使いこなし、
仕事のやり方そのものを変えられる人材が必要になります。
知っておきたい「リスキリング」の助成金
ここで活用を検討したいのが、
人材開発支援助成金の
「事業展開等リスキリング支援コース」です。
この制度は、事業展開やDX・GXなどに伴って、
新たな分野で必要となる知識や技能を社員に習得させるための訓練について、
訓練にかかる経費や、訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
2026年度の制度では、
中小企業の場合、基本的に
訓練経費:75%
賃金助成:1人1時間あたり1,000円
という支援があります。
もちろん、すべての研修が対象になるわけではありません。
対象となる訓練や申請手続きには要件があり、
計画届などを所定のタイミングで提出する必要があります。
だからこそ、
「研修を申し込んでから助成金を考える」
のではなく、
「会社として何を変えるのか」を先に決めておきます。
この順番が重要となります。
「AI研修を受けさせる」だけでは、会社は変わらない
たとえば建設会社であれば、
「社員に生成AIを勉強してもらおう」
だけでは、その効果は限られてしまいます。
それよりも、
「現場の報告書作成にかかる時間を減らす」
「写真整理や書類作成を効率化する」
「若手社員がベテランの知識を活用できるようにする」
「新しいDXツールを現場で使いこなせる人材を育てる」
といった、
会社の具体的な課題と、人材育成を結びつけていきます。
研修そのものを目的にはしません。
「何を学ぶか」ではなく、 「学んだ結果、会社の何が変わるのか」 から逆算して考えます。
この視点が、ポイントになります。
「研修費」ではなく「未来への投資」と考える
ここで、経営者として一度、
見方を変えてみる必要があります。
社員研修を、
「コスト」
と考えるのか。
それとも、
「会社の未来をつくる投資」
と考えるのか。
この違いは非常に大きいです。
たとえば、10人の社員がAIを使えるようになったとします。
一人ひとりが毎日30分、
文書作成や情報整理の時間を削減できれば、
会社全体では相当な時間になります。
さらに、その社員が、
「これ、AIでできるんじゃない?」
と考えるようになれば、
そこから新しい業務改善が生まれるかもしれません。
つまり、リスキリングの本当の価値は、
「研修を受けた」という事実ではありません。
社員自身が、仕事のやり方を変え始めること。
ここにあります。
では、自社では何から始めればいいのか?
ここまで読んで、
「うちも使えそうだ」
と思われた方もいるかもしれません。
ただ、ここでいきなり研修会社を探す必要はありません。
最初にやるべきことは、
「自社では、これから何を変えたいのか?」
を決めることです。
たとえば、
・AIを使って事務作業を効率化したい
・DXを進めて現場と事務所の情報共有を改善したい
・新しい事業に必要な人材を育てたい
・社員のデジタルスキルを底上げしたい
・ベテラン社員のノウハウを若手に引き継ぎたい
など。
ここが決まれば、
「誰に」
「何を」
「どんな方法で」
「どのくらいの期間で」
学んでもらうのかが見えてきます。
そして、その計画が助成金の対象になるのかを確認していきます。
この順番です。
おわりに ― 「人を育てる会社」が、変化に強い会社になる
AIもDXも、
結局は「人」が使うものです。
どれだけ高性能なシステムを導入しても、
社員が使えなければ会社は変わりません。
逆に言えば、
社員が学び、
社員が使い、
社員が改善する。
この循環ができれば、
会社は少しずつ、しかし確実に変わっていきます。
リスキリングは、
単なる「研修費用を安くする制度」ではありません。
これからの会社をつくる人材に、今から投資するための仕組みです。
そして2026年度は、
DX・GXや新たな事業展開に加えて、
設備投資まで含めて考えられる制度へと広がっています。
「社員教育をしたいけれど、費用がネックになっている」
もしそんな状況であれば、
一度、自社で活用できる可能性がないか、
確認してみてはいかがでしょうか。
大切なのは、
「助成金があるから研修する」のではありません。
「会社をこう変えたい。そのために、この人材を育てたい」
そう考えるところから始まります。
本コラムが、
これからの人材育成を考えるきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
いま、「社員を育てる」ことが経営課題になっている
会社が変わるためには、社員も一緒に変わらなければならない。
知っておきたい「リスキリング」の助成金
訓練にかかる経費や、訓練期間中の賃金の一部を助成する制度
75%
1人1時間あたり1,000円
「会社として何を変えるのか」を先に決めておきます。
「AI研修を受けさせる」だけでは、会社は変わらない
会社の具体的な課題と、人材育成を結びつけていきます。
「研修費」ではなく「未来への投資」と考える
社員自身が、仕事のやり方を変え始めること。
では、自社では何から始めればいいのか?
「自社では、これから何を変えたいのか?」
おわりに ― 「人を育てる会社」が、変化に強い会社になる
これからの会社をつくる人材に、今から投資するための仕組みです。
「会社をこう変えたい。そのために、この人材を育てたい」



