建設業の人手不足への対策。人を増やせない、残業もできない中で残された打ち手

  • 建設・AI活用
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執筆者船井総研 製造・建設支援本部
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「人が足りない」。建設会社の経営者の方から、最も多く聞く悩みです。求人を出しても応募が来ない。やっと採用できても、定着しない。ベテランは引退の時期が近づいている。
さらに2024年4月からは、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。人を増やせない、残業でカバーすることもできない。建設会社は、これまでにない状況に置かれています。
本コラムでは、建設業の人手不足の現状と、建設会社に残された打ち手を解説します。

建設業の就業者は約3割減った

建設業の就業者は、ピークだった1997年の約685万人から、2024年には約480万人まで減りました。約3割の減少です。


人数が減っただけではありません。55歳以上の割合が高く、29歳以下の若手は少ないままです。10年後には、現場を支えるベテランの多くが引退します。技術者の有効求人倍率は5倍を超え、採用で人を増やすことは年々難しくなっています。

時間外労働の上限規制

2024年4月からは、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。
·       原則は月45時間・年360時間まで
·       特別な事情がある場合でも、年720時間以内などの上限がある
·       違反すると罰則の対象になる
5年間の猶予の期間は、既に終わっています。これまでのように、人が足りない分を残業で補うことはできません。

建設会社に残された3つの打ち手

人を増やせない、残業もできない。この状況で、建設会社にできることは大きく3つです。

打ち手1:採用と定着に力を入れる

もちろん、採用をあきらめる必要はありません。働き方の改善、給与の見直し、若手の育成の仕組みづくりは、引き続き大切です。ただ、業界全体で人が減る中、採用だけで人手不足を解決するのは難しくなっています。

打ち手2:外部に任せる

協力会社や外部の専門家に仕事を任せる方法です。ただ、協力会社も同じように人手不足に悩んでいます。外部に任せる費用も上がっています。

打ち手3:1人あたりの生産性を上げる

残る打ち手が、今いる社員1人あたりの生産性を上げることです。同じ人数で、より多くの仕事を回せるようにする。そのための強力な手段が、AIです。

なぜAIが人手不足の対策になるのか

建設会社の社員の時間は、意外なほど書類・写真・連絡に使われています。
·       現場監督:日報、工事写真の整理、写真台帳、安全書類、協力会社への連絡
·       営業:提案書、見積、打合せの議事録、お客様へのメール
·       設計:図面の確認、仕様の照合、申請の書類
·       事務:請求書の処理、転記、集計
こうした仕事の多くは、AIが得意とする分野です。AIに下書きや整理を任せ、人は確認と判断に集中する。これだけで、1日に何十分、何時間という時間が生まれます。
例えば、1人が1日1時間を減らせたとします。月20日なら20時間、年間で240時間です。社員30人なら、年間7,200時間。1人の年間の労働時間を約2,000時間とすると、3〜4人分の仕事に相当します。採用が難しい中で、3〜4人を増やしたのと同じ効果を生み出せる計算です。

生まれた時間を何に使うか

AIで生まれた時間は、次のような「人にしかできない仕事」に使います。
·       現場での段取り、品質と安全の確認
·       お客様との打合せ、要望の深掘り
·       若手の育成、技術の伝承
·       新しいお客様の開拓
時間が生まれても、使い道を決めておかないと、なんとなく消えてしまいます。生まれた時間を何に使うかまで決めておくことが、AI活用を経営の成果につなげるポイントです。

若手の採用にもつながる

AIの活用は、採用にも良い影響があります。若い世代にとって、紙と手書きの書類が中心の会社よりも、新しいツールを使いこなしている会社の方が、働きたいと思える職場です。残業が少なく、書類に追われない働き方ができることは、採用の大きな強みになります。

人手不足の対策を進めるチェックリスト

□ 部署ごとに、どの仕事にどれだけ時間を使っているかを書き出したか
□ 残業の多い社員・部署と、その原因になっている仕事を把握したか
□ 書類・写真・連絡の仕事のうち、AIで短くできるものを選んだか
□ 1人1日あたり、どれくらいの時間を減らすかの目標を決めたか
□ 生まれた時間を何に使うか(現場、営業、育成)を部署ごとに決めたか
□ 採用・定着の取り組みと、AIの活用を並行して進める計画があるか
□ 時間外労働の上限を守れているかを、毎月確認しているか
□ AIの活用を、採用の場で伝えられる会社の強みにしているか
□ 若手とベテランの両方が使えるよう、音声入力など簡単な使い方から始めたか
□ 効果を数字で社員に共有する場を設けているか

よくあるご質問

Q. AIを入れたら、人を減らすことになりませんか?
A. 目的は人を減らすことではなく、人にしかできない仕事に時間を使えるようにすることです。人手不足の中では、今いる社員が書類に追われずに、本来の仕事に集中できることの方が大切です。社員にもこの目的をはっきり伝えましょう。

Q. どの仕事からAIに任せればよいですか?
A. 毎日、多くの社員が時間を使っている仕事から始めるのがおすすめです。日報、議事録、メール、お知らせ文などは、すぐに効果が出やすい仕事です。まずは業務を書き出し、どこに時間がかかっているかを確かめましょう。

Q. 残業の上限規制への対応として、すぐにできることは?
A. まずは、社員がどの仕事にどれだけ時間を使っているかを把握することです。そのうえで、会議の議事録やメールの下書きなど、AIですぐに短縮できる仕事から取り組むと、早く効果を実感できます。

Q. 協力会社の人手不足にも、AIは役立ちますか?
A. 協力会社への指示書や工程の連絡、書類の受け渡しをAIで整理すると、協力会社の負担も減ります。連絡がはっきりしていて書類の手間が少ない元請けは、協力会社から選ばれやすくなります。人手不足の時代には、協力会社に選ばれることも大切な対策です。

Q. 社員が少ない会社でも、効果はありますか?
A. 社員が少ない会社ほど、1人が多くの仕事を兼ねているため、1人あたりの効果は大きくなります。社長や役員自身が、見積や書類の仕事を抱えていることも多く、まず経営者の時間を生み出すことから始めるのも一つの方法です。

Q. 人手不足の対策として、まず社長がやるべきことは?
A. 社員がどの仕事に時間を使っているかを知ることです。現場監督や営業に、1日の仕事の流れを聞いてみてください。書類・写真・連絡に使っている時間の多さに気づくはずです。そこが、AIで最初に取り組むべき仕事です。

まとめ

建設業の就業者は約3割減り、時間外労働の上限規制も始まりました。人を増やせない、残業もできない中で、建設会社に残された打ち手は、1人あたりの生産性を上げることです。書類・写真・連絡の仕事をAIに任せ、生まれた時間を人にしかできない仕事に使いましょう。
船井総研では、建設会社の経営者様を対象に、無料経営相談を行っています。人手不足への対策や、AIによる生産性の向上について、お気軽にご相談ください。

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執筆者 : 船井総研 製造・建設支援本部

船井総研の製造・建設支援本部は、建設業界に特化した経営コンサルティングを行っております。コンサルティング事業で培ってきた成功モデルを武器に、ほぼすべての業種・テーマをカバーしております。経営に関するお悩みを幅広く解決いたしますので、是非お気軽にご相談ください。