Q.設計スタッフの離職率を下げて長く働ける環境を作る工夫は?

  • 設計事務所
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執筆者船井総研 製造・建設支援本部
コラムテーマ経営課題FAQ
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A.設計スタッフの離職率を下げるためには、安定した案件受注と働きやすい組織づくりの両方が重要です。専門分野を明確にして安定した受注体制を整え、設計スタッフが成長できる環境や評価制度を整備することで、長く働き続けられる設計事務所をつくることができます。

設計スタッフの離職を防ぐ組織変革

持続可能な「定着率向上」4つの施策

設計事務所の成長を支えるのは、図面を引く「人」そのものです。優秀な設計スタッフの離職は、単なる欠員以上の損失(ノウハウの流出、採用コストの増大)を招きます。2026年、働き方の多様化が進む中で、選ばれ続ける事務所であるためには、「個人の成長」と「組織の安定」が同期する仕組みが不可欠です。離職率を劇的に下げるための経営戦略を提言します。

1. 経営の安定化

受注の「仕組み化」による心理的安全性とワークライフバランスの確保

スタッフが不安を感じる最大の要因は、案件の波による「過度な長時間労働」と「将来の不透明感」です。代表者の属人的な営業から脱却し、組織として安定受注を実現することが、定着の土台となります。

マーケティングによる「平準化」

特定の専門分野(例:工場・福祉施設等)を打ち出したWeb集客を仕組み化し、年間を通じて安定した案件流入を確保します。これにより、「急激な繁忙」と「手待ち」の差を縮小し、計画的な労務管理を可能にします。

受注選別による「質の向上」

安定した集客基盤があれば、自社の強みが活きない(工数ばかりかかる)案件を断る「選択」が可能になります。スタッフが納得感を持ってクリエイティブに没頭できる環境こそが、最高の離職防止策となります。

2. キャリア開発の可視化

「自己成長の確信」を生むL&D(学習と開発)体制

専門職である設計スタッフは、「この事務所で自分の市場価値が上がるか」をシビアに見ています。経験年数に応じた成長ステップを明文化する必要があります。

スキルマップに基づく権限委譲

「いつまでも補助業務」という停滞感を排除するため、フェーズごとの習得スキルを定義し、段階的に主担当としての権限を委譲します。

多角的な能力開発支援

設計技術だけでなく、顧客への提案力、プロジェクトマネジメント、さらには2026年の必須スキルであるBIM活用や環境性能計算など、市場価値を高める学びを組織として支援(資格手当や研修費補助)します。

3. 属人性の排除とチーム制への移行

ナレッジシェアによる「抱え込み」の解消

「担当者一人に負荷が集中する」構造は、メンタルヘルスの悪化や離職のトリガーとなります。業務を個人ではなく「組織」に紐付ける体制へ移行します。

プロジェクトチーム制の導入

1案件を複数人で担当するバディ制やチーム制を導入し、休暇の取得や急な欠勤を互いにカバーできる体制を構築します。

社内Wikiやナレッジ共有の仕組み化

個人のPCに眠っている詳細図や行政協議のノウハウをクラウド上で共有(ナレッジシェア)し、誰でも過去の知見を参照できるようにします。これにより「自分しかわからない」という過度なプレッシャーを軽減します。

4. ビジョンの浸透

パーパスへの共感による「エンゲージメント」の強化

給与や条件以上に、スタッフを繋ぎ止めるのは「この事務所の目指す方向に共感できるか」という情緒的価値です。

経営理念の「自分事化」

事務所が社会に対してどのような価値(地域貢献、デザインによる課題解決等)を提供しているのか、定期的な全社ミーティングや1on1を通じて対話し続けます。

将来のロードマップ共有

事務所が5年後、10年後にどのような規模や体制を目指しているのかを共有することで、スタッフは「自分のキャリアがこの組織の未来とどう重なるか」を描くことができ、長期勤続の動機付けとなります。

結論

スタッフの定着は「経営の質」そのものである設計スタッフが長く活躍できる事務所には、共通して「①受注の安定」「②成長の可視化」「③チーム運営の徹底」「④ビジョンの共有」という4つの柱が存在します。

スタッフを「労働力」ではなく、共にビジョンを実現する「人的資本」と捉え、その価値を最大化させる環境を整えること。それこそが、持続可能な強い設計事務所をつくる唯一の道です。

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執筆者 : 船井総研 製造・建設支援本部

船井総研の製造・建設支援本部は、建設業界に特化した経営コンサルティングを行っております。コンサルティング事業で培ってきた成功モデルを武器に、ほぼすべての業種・テーマをカバーしております。経営に関するお悩みを幅広く解決いたしますので、是非お気軽にご相談ください。